やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく (文春文庫 か 68-3) 梯久美子が書き下ろす「アンパンマン」の作者・やなせたかしの本格評伝 高知県で生まれた嵩(たかし)は、幼少期に父を亡くし、再婚した母とも別れて伯父の家で育つ。東京で美術を学び、デザイナーとなるが

『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』(文春文庫)は、日本を代表する漫画家・やなせたかしの生涯を、彼の代表作「アンパンマン」とともに描いた感動的なノンフィクション作品です。

物語のあらすじ

高知県で生まれたやなせたかし(本名:嵩)は、幼少期に父を亡くし、母と別れ伯父の家で育ちます。東京で美術を学びデザイナーとして活動する中で徴兵され中国大陸へ。戦場で飢えを経験したこと、そしてたった一人の弟が23歳の若さで戦死したことが、のちに「アンパンマン」誕生へとつながっていきます。

再度上京し、妻となった暢とともに漫画家を目指しますが、決して順風満帆とは言えない道のりでした。40歳を過ぎてようやく作家として認められ始めますが、「アンパンマン」を発表した当初は「顔を食べさせるなんて残酷だ」「気持ち悪い」と大人たちからのブーイングを受けます。しかし、子どもたちは無垢な心でアンパンマンを愛し、その人気は次第に広まっていきます。

2011年の東日本大震災直後、被災地からラジオ局に「アンパンマンのマーチ」のリクエストが殺到。避難所で大合唱する子どもの姿に、92歳だったやなせは感動し、94歳で亡くなるまで復興のために力を尽くしました。

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作品の魅力

  • やなせたかしの知られざる生涯: 幼少期の孤独、戦争体験、苦労した漫画家時代など、これまであまり語られることのなかったやなせたかしの生涯が、綿密な取材によって明らかにされます。
  • 「アンパンマン」誕生秘話: なぜアンパンマンが生まれたのか、その背景にあるやなせたかしの思いが深く掘り下げられています。
  • 愛と勇気のメッセージ: 困難な時代を生き抜いたやなせたかしの人生から、愛と勇気の大切さが伝わってきます。
  • 感動的な人間ドラマ: やなせたかしと彼を取り巻く人々との人間ドラマが、読者の心を揺さぶります。

この作品は、アンパンマンを通して子どもたちに勇気と希望を与え続けた、やなせたかしの生涯を描いた感動的な作品です。彼の人生を通して、読者は困難な時代を生き抜くためのヒントや、人として大切なことを学ぶことができるでしょう。