魔術道具に求められる「処女性」と訓令
魔術に関する古代の書物では、「魔術師」が用いるものはすべて「処女性をもつ」ものでなければならない、と言われている。つまり、他のいかなる人によっても、また他のいかなる目的のためにも、使用されたことがあってはならないということである。「魔術師」は杖を必要としたが、木を切ったり削ったりして杖を仕上げるためには、ナイフが必要だった。だが、ただ新品のナイフ(販売を目的として作られた)を買うだけでは充分ではなく、自分でナイフを作らねばならぬと彼らは感じた。
「魔術」においてすら、私たちは他人の助けなしにはやってゆけないのである。
しかしながら、この推賞にはまだ別の目的があった。武器にかかる面倒や困難が多ければ多いほど、出来上がった武器の有用性は一層高いということがわかるのである。
「首尾よく事を仕上げたければ、自分で行なえ」
古代の「魔術」が与えるもうひとつの顕著な訓令は、「作業」に関連することは何であれ、単一であるべきだということであった。「杖」はナイフの一振りのもとに切るべしとされていた。もし「魔術」に手を染めようと思うのならば、妥協は禁物である。
もうひとつの勧告はこうである。必要なものがあれば何でも値切らずに買え!
同じ基準では比較できないものの価値を釣り合わせようとしてはならない。最小限の「魔術の道具」といえども、あなたが所有しているいかなるものよりも無限に高い価値がある。