「均衡」について、また、「神殿」の「調度」と「作業」の「道具」との準備の一般的・個別的方法について
「均衡の生まれ出ずる前は、表情の表情を見しことなし」。古の「カバラ」の中でも最も神聖なる「書」は、かくのたまう。ここで言う二つの表情とは、一方が「大宇宙」であり、もう一方が「小宇宙」である。
いかなる魔術儀式も、その目的は「大宇宙」と「小宇宙」とを合体させることである。
事情は光学と似ている。入射角と反射角とは等しいのである。「大宇宙」と「小宇宙」とを垂直・水平に精密に釣り合わせねばならない。さもなければ、双方の像は一致しないであろう。
この均衡は、「神殿」を整える際に、魔術師によって確認される。何物も不釣り合いであってはならない。このことの重要性は余りにも大きく、またその真実性は余りにも明白なので、魔術に関してどれほど凡庸な能力しか持ち合わせていない人といえども、釣り合いのとれていない物象を一瞬たりとも許容することはできない。人の本能が即座に反抗するのである。
こうして釣り合わされ破壊されたものでないかぎり、「魔術」において思念を用いることは安全ではない。