「孤高の女ガンマンが貫く正義と哀しみ—西部の荒野を駆ける〈リボルバー・リリー〉の凛とした銃声が、法なき世界にひとすじの光を放つ、講談社文庫の痛快ガンアクション長編!」

あらすじと世界観

舞台は19世紀末のアメリカ西部。法も秩序も届かぬ荒野で、亡き父親の形見――レミントン製リバー ブル・リボルバーを振るう女ガンマン、リリー・ハートフォードがひとり旅をしている。幼い頃に保安官だった父を無法者に殺されて以来、リリーは自らの手で弱きを助け、残虐なならず者を裁き続けてきた。黒いダスターコートに身を包み、腰の銃を軽やかにくるわせるその背中には、復讐と正義への揺るぎない決意が宿っている。

主人公リリー・ハートフォード

  • 孤高の復讐者
    幼少期のトラウマと父への想いから、感情の起伏を表に出さず冷静沈着に振る舞う。だが荒野の夜、焚き火の炎が揺れるとき、心の奥底にある哀しみがふと滲み出る。
  • 卓越した銃技
    レミントン・リボルバーを右手に、標的に狙いを定める一瞬の呼吸で的を外さない腕前をもつ。遠距離射撃はもちろん、至近距離の早撃ちも得意とし、その名を聞くだけで悪党どもは背筋を凍らせる。
  • 人情と誇り
    無法地帯に生きる孤児や開拓民を陰で支え、食糧や薬草を届ける優しさも併せもつ。心に傷を負った者たちに「もう一度立ち上がる勇気」をそっと与える、義手のような存在だ。

物語の展開

  1. 荒野の町リヴァースプリング到着
    伝説のガンマンを追う賞金稼ぎや狂信的な教団がひしめく町で、リリーは偶然知り合った医師・エリオットとともに、子供たちを人身売買から守る抗争に巻き込まれる。
  2. 裏切りと盟友の死
    夜陰に乗じた襲撃で命を落とす仲間を前に、リリーの復讐心は一層燃え上がる。しかしエリオットの「命を粗末にしては、求める正義もやがて歪む」という言葉が、彼女の心に深く突き刺さる。
  3. 教団の黒幕との対決
    暴虐を極める教団リーダーとの銃撃戦は、砂塵舞う教会の鐘楼下で最高潮に。互いに銃口を向け合い、白刃の火花が散る中、リリーは父の遺志と自身の人情の間で葛藤する。
  4. 銃声が消えたとき
    最後の一発を撃ち終えたリリーは、砂に沈む鐘楼の前で初めて涙をこぼす。失ったものの大きさを抱えつつも、かすかな朝日に向かって再び歩みを進める――。
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テーマと魅力

  • 復讐と赦しの狭間
    リリーの心情を軸に、復讐が正義を歪めるリスクと、“赦し”がもたらす本当の解放が巧みに描かれる。
  • 女性ガンマンの群像劇
    「男だけの血みどろ西部劇」に異を唱える、毅然とした女性ヒーロー像が新鮮。恋愛や煩わしい人間関係に振り回されず、自らの信念に真っ直ぐな姿が痛快だ。
  • ハードボイルド×人情味
    果てなき砂漠の乾いた空気感と、そこで芽生えるほのかな暖かさのコントラスト。銃撃の緊迫感と、子供たちを見守る優しさのギャップが胸を打つ。

『リボルバー・リリー』は、銃声と夕陽が交錯する荒野の詩(うた)。傷ついた者たちのため、再びガンベルトを締める孤高のヒロインの生きざまを、どうぞじっくりとお楽しみください。