【あの世出禁の怪人降臨!】『鬼灯の冷徹』江口夏実が描く世にも不死議な物語!怪しい“自称仙人”モグラが「人」と「霊」の業を暴く!ギャグとシリアスの緩急がクセになる、新感覚のオカルトコメディ!

🚨「死ねない男」が暴く、この世の不可思議!江口夏実先生の最新作『出禁のモグラ』

前作『鬼灯の冷徹』で、地獄という世界を舞台に群像劇を描き切った江口夏実先生が、今度は「この世」の不可思議に切り込みます。それが、世にも不死議な物語『出禁のモグラ』です。

主人公は、「あの世から出禁をくらっており、死なない」という異色の設定を持つ怪しい男、百暗桃弓木(もぐら ともゆき)。彼は、あの世に還るために、幽霊が持つ「灯」をカンテラに集めるという奇妙な活動をしています。そんな彼と出会ってしまったことで、ごく普通の大学生・真木と八重子の日常は、一変して「霊が見える」非日常へと変わっていくのです。

👁️ギャグの中に潜む「人間の業」と「シビアな真実」

この作品の最大の魅力は、江口夏実先生特有の「キレッキレのギャグ」と、胸に刺さる「シビアな人間ドラマ」が絶妙なバランスで同居している点です。

「あの世出禁」というファンタジックな設定がありながら、描かれるエピソードの多くは、生者や死者が抱える「人間の業」や「因縁」といった、リアルで重いテーマに深く踏み込みます。しかし、物語のトーンが重くなりすぎないのは、モグラの飄々としたキャラクターと、突如として差し込まれるシュールなギャグシーンのおかげ。このジェットコースターのような緩急が、読者の中毒性を高めています。

💬私の感想:モグラの「人たらし」ぶりにハマる!

私も「鬼灯の冷徹」のファンとして読み始めましたが、本作は地獄が舞台だった前作とは違い、「この世」の闇を題材にしているため、より身近な恐怖や共感を感じました。

特に魅力的なのは、主人公モグラのキャラクターです。飄々としてつかみどころがない彼は、時に達観した仙人のようで、時に世話焼きのお人好し。彼は、拗らせた霊や人間に対して、おせっかいに関わり、その長い年月で培われた知識と人たらしな会話術で、彼らを導いていきます。

また、モグラと関わってしまった真木と八重子の「巻き込まれ系」の反応も絶妙で、読者と同じ目線でこの摩訶不思議な世界を観察してくれるため、物語にスムーズに入り込めます。シビアな話の中にも、社会風刺や歴史的な背景がさりげなく織り込まれており、「奥深さ」と「読み応え」が非常に高い一冊です。

日常の中に潜む「不可思議」と「人間の本質」を、怪しく、そしておかしく描き出すこの物語。ぜひモグラの案内で、世にも不死議な世界を覗いてみてください。