「最悪だ。もう逃げ場がない」──仕事・青春・人生が交錯し、三人それぞれの転落劇が今まさに加速する。東京・北関東・静岡を舞台に、孤独と欲望が引き金となり絡み合う――圧倒的切迫感と叫びが胸を貫く、絶叫ミステリー『滅茶苦茶』登場!
「最悪だ。もう逃げ場がない」──この言葉に象徴される、不安と絶望に蝕まれた三人三様の“今”。講談社文芸から刊行された染井為人(そめい・ためひと)による小説『滅茶苦茶』は、そんな切羽詰まった人生を生きる三者が、運命の糸で絡まり合い、転落していく――まさしく絶叫のミステリーです。
① 登場人物三者三様の転落の始まり
- 今井美代子(東京在住・30代女性)
順調なキャリアとシングルライフを謳歌していた広告代理店勤務の美代子は、マッチングアプリで知り合った中華系マレーシア人との恋愛に足を踏み入れます。不穏な投資話が持ち上がった瞬間、彼女の平穏は一気に崩壊。読者は最初から「これはヤバい」と身構えることになるでしょう。
- 二宮礼央(北関東在住・高校2年生)
県トップ進学校に通う秀才・礼央は、周囲との距離や学力の差にコンプレックスを抱えます。そんなとき、事故のような再会から、不良グループに巻き込まれ、恐喝→窃盗→そして殺人へ……「この子、本当に大丈夫?」と心配にならずにはいられません。
- 戸村茂一(静岡在住・中年男性)
父から受け継いだ老朽化したラブホテル三棟の経営。コロナ禍による経営悪化、持続化給付金対象外、役所での怒り…不安と苛立ちから茂一は、持続化給付金詐欺や売春斡旋へと道を踏み外していきます。その滑落ぶりに目が離せません。
② 転落人生が絡み合い、加速する絶叫展開
物語は、それぞれがバラバラの場所で始まります。しかしページをめくるほどに、“転落”が静かに、そして激しい波となって相互に影響し、ついには三者が交錯します。その瞬間の“衝突”こそが本書のクライマックス――疑問と衝撃が読者を叩き起こします。
③ 染井為人ならではのリアル描写と読後衝撃
著者・染井為人は2017年『悪い夏』で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し、『正体』ではWOWOWドラマ化を果たすなど、緊迫感と心理描写の巧みさに定評があります。本作も、その“染井マジック”が遺憾なく発揮されており、「滅茶苦茶な展開」「圧倒的な言葉の迫力」「絶望の淵で涙腺が緩む」と各所で評されています。
④ 読者レビューから見える本作の魅力
読者・書評家らの評価も高く、「胸糞悪いけど止められない」「狂騒と絶望の共存、思わず声が出た」などの声が続出。リアルなコロナ禍背景と人間の弱さ、そして偶然によって引き起こされる連鎖に“ゾクゾクする”という感想も数多くあります。
⑤ 本書の見どころ総まとめ
- 三視点のパラレル構成:それぞれの“転落”が独自に進み、やがて交錯する構造が見事。
- コロナ禍のリアルな描写:現代の“閉塞感”と“隙”が動機と行動を深く裏付ける。
- 言葉の強度と鮮烈な展開:一文一文がスパイクのように胸に突き刺さる。
- 絶望の中の人間性:「最低な道を選んでいく彼らも、どこか憐れで人間らしい」。
- 予想外の交錯と結末:最後に三者が出会う展開は、読者が予想できないほど衝撃的。
⑥ どんな人におすすめ?
- 社会の隙間に飲み込まれる“リアル”な人間ドラマが読みたい人
- 並行構成による緊迫感と心理描写の深さを味わいたい人
- 「胸糞悪いけど面白い」を求めるミステリ読者
- 現代の閉塞感・孤独感をフィクションで体験・浄化したい人
🎯 総評 ― 絶叫と共鳴の376ページ
『滅茶苦茶』は、三人の人生がそれぞれ“崖っぷち”から滑り落ち、やがてその人生線が交わる“カオスの瞬間”に震撼させられる作品です。読めば読むほど、筆の勢いと構成力に圧倒されることでしょう。コロナという現実がもたらした“影響と隙”を背景に、「人は簡単に転落し、どん底で繋がる」のだと痛感させられる圧巻の一冊です。
「最悪だ。もう逃げ場がない」――しかしその絶望の叫びがあなたの胸を貫く瞬間、読み終えた後には、それでも人間のしぶとさ、再起へのわずかな光に気づかされるはずです。
ぜひこの“絶叫ミステリー”を手に取り、あなた自身の“人生との対峙”を体験してください。