Audible版 レーエンデ国物語 毛布にくるまって読みふけった あの頃のあなたへ―― 家を抜け出して、少女は銀霧が舞う森へと旅に出た。こんなファンタジーを待っていた！異なる世界、西ディコンセ大陸の聖イジョルニ帝国。

音の中の異世界──Audible版『レーエンデ国物語』

雨音と声の魔法

夜のカフェ。雨が窓を静かに叩いていた。

テーブルに肘をつき、スマートフォンを眺める**奏多（かなた）**の耳には、イヤフォンがついている。
彼は今、Audibleで物語を聴いていた。

『レーエンデ国物語』──それは、幻想的な異世界を舞台にした壮大な冒険譚。
しかし、この物語には特別な魅力があった。
音だけで、まるで別世界へと誘われるような、不思議な感覚。

「……これは、本当に物語なのか？」

耳元で語りかけるのは、深みのある語り手の声。
さざめく風、剣と剣がぶつかる音、遠くで響く鐘の音──
すべてが、ただの朗読ではなく、一つの世界を創り出していた。

奏多は、幼いころから読書が好きだったが、大人になり忙しくなるにつれ、本を開く時間が減っていた。
そんなときに出会ったのが、Audible版の『レーエンデ国物語』だった。

「聴く物語なんて、ただの朗読でしょ？」

最初はそう思っていた。だが、一度再生ボタンを押した瞬間、彼の意識は音の世界へと引き込まれた。

──広大な砂漠を旅する王子と、彼に仕える少女。
──魔法を封じられた古の都、レーエンデ。
──「言葉」によって世界を創造する者と、「沈黙」によって破壊する者。

物語の中で、人々は「言葉」によって運命を変えていく。
それはまるで、奏多自身が今、耳元で聞いている「声」と同じだった。

「物語って、読むだけじゃなく、聴くことでも生きてくるんだな……」

気づけば、コーヒーはすっかり冷めていた。
時計を見ると、もうこんな時間。

「続きは……帰り道で聴こうかな」

イヤフォンをつけ直し、奏多は雨の中を歩き出した。

街の灯りがぼやける中、耳元では、王子が最後の戦いへと向かっていた。
まるで、自分自身も異世界へ旅をしているような気分だった。

──物語は、文字を超え、声で生きる。
Audible版『レーエンデ国物語』は、そんな魔法をかけてくれる物語なのかもしれない。