Audible版 汝、星のごとく その愛は、あまりにも切ない。 正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。 本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。 ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。 風光明媚な瀬戸内の島に
耳で聴く星の物語──Audible版『汝、星のごとく』
波音に溶ける声
海辺のバス停で、美咲(みさき)はイヤフォンをつけた。
スマートフォンの画面には、Audible版『汝、星のごとく』の再生ボタンが表示されている。
「読もうと思っていたけれど、なかなか時間がなくて……」
そう思いながらも、ふと気まぐれに、“聴く読書”を選んでみた。
指がそっと画面に触れ、物語が流れ始める。
「ねぇ、光理。もし私が星だったら、あなたは気づいてくれる?」
静かに響く語り手の声。
波の音と混ざり合いながら、物語が美咲の心に染み込んでいく。
──離島で出会った少年・暁海と、転校生の光理。
──互いを強く想いながらも、すれ違い、離れていく二人。
──それでも、夜空に瞬く星のように、遠くから互いを見つめ続ける。
心の奥にじんわりと広がる、切なくも美しい世界。
目で読むのとは違い、耳で聴くことで、登場人物たちの想いがより鮮明に感じられる。
「……まるで、波の向こうに彼らがいるみたい」
美咲は、かつての自分の恋を思い出していた。
高校時代、好きだった人がいた。
けれど、想いを伝えることなく、時は流れ、今ではどこで何をしているのかもわからない。
“もし、あのとき言葉にしていたら——”
そんな想いが、物語の中の光理と重なった。
やがて、バスがやってくる。
美咲はイヤフォンを外さずに乗り込み、窓の外に広がる海を見つめる。
──星のように、どんなに離れていても、想いは消えないのかもしれない。
物語の続きを聴きながら、美咲はそっと微笑んだ。
Audible版『汝、星のごとく』。
それは、音で感じる、儚くも美しい恋の物語。