「私の30歳——止まらない時間の中で」30歳を目の前にして不運続きのソウン。仕事はキャンセルされ、彼氏には捨てられ、ケータイまで壊れてしまう。大人になりたい気持ちが現れ人間関係が上手くいかなかったソウンは、悩みが多い時に出会った夜中にランニングをしていた男

「30歳って、もっと大人だと思ってた——。」

桜井彩乃(29)は、30歳の誕生日を目前に控え、ふと立ち止まった。
仕事もプライベートも、それなりに順調。でも、何かが足りない気がする。

「このままで、本当にいいのかな?」

そんな漠然とした不安が、心の奥でくすぶっていた。

第一章:仕事と私

広告代理店で働く彩乃は、チームの中心として忙しい日々を送っていた。
仕事は好き。でも、新入社員のような情熱はいつの間にか薄れ、
「やらなきゃいけないこと」をこなす毎日になっていた。

そんな中、同世代の女性クリエイターが新しいプロジェクトを成功させる姿を見て、彩乃の心がざわつく。

「私も、何か変わらなきゃ。」

第二章:恋愛と私

彩乃には付き合って3年になる恋人・直人(32)がいる。
穏やかで優しい彼。でも最近、二人の間に会話が減ってきた。

「このまま結婚するのが、幸せなのかな?」

そんな時、偶然再会した大学時代の友人・慎也(30)。
夢を追いかけて海外を飛び回る彼の姿に、彩乃はかつての自分の「理想」を思い出す。

「私は、何を諦めたんだろう?」

第三章:私の30歳

誕生日の夜、彩乃は一人で部屋の明かりを落とし、静かに考えた。

「30歳って、"もう" なのかな? それとも、"まだ"?」

これまで積み重ねた時間、迷い、そしてこれからの未来——。

「何歳になっても、私の人生は私が決めていいんだ。」

スマホを手に取り、新しい挑戦のためのメールを送る。
そして、直人に向き合う決意をする。

30歳。迷いながらも、前に進む。

——これは、「私」が「私の人生」を選ぶ物語。