『ロングレッグス』1990年代、オレゴン州。平凡な家族を襲う連続殺人事件。現場に残された「ロングレッグス」という署名付きの暗号文。新人捜査官ハーカーは、その謎を追ううちに、自らの過去と事件を結ぶ衝撃の接点を発見する。

その暗号文は、悪夢の入り口だった

1990年代半ば、オレゴン州。FBIの新人捜査官リー・ハーカーは、並外れた直感力を見込まれ、ある重大な未解決事件の担当に抜擢されます。それは、過去30年間にわたり、ごく平凡な家庭の父親が妻子を殺害した後に自殺するという、不可解な事件が10回も繰り返されていた連続殺人事件。どの現場にも外部からの侵入者の痕跡はなく、唯一残されていたのは、不気味な暗号文と「ロングレッグス」という署名だけでした。

「ロングレッグス」とは一体何者なのか？なぜ、何の接点もないはずの家族たちが、同じような形で殺害されるのか？この連続殺人事件の謎は、捜査を指揮するハーカーと、経験豊富なベテラン捜査官・バーンズを翻弄します。しかし、ハーカーは持ち前の直感力を活かし、暗号文を解読。一見バラバラに見えた事件の間に、ある恐ろしい法則を見出します。

あなたの日常に潜む、見えない悪意

この物語が持つ最大の恐怖は、その設定にあります。登場する家族は、どこにでもいるような、ごく平凡で幸せな家庭ばかり。突然、平穏な日常が崩壊し、家族の絆が最悪の形で断ち切られてしまう。外部からの侵入者もなく、誰も予測できないタイミングで、悪夢は静かに、そして確実に訪れます。

家族を襲う悪夢: 何の予兆もなく、愛する家族を自らの手で殺める父親たち。その背景にある動機は一切不明。観客は、いつ自分の身に降りかかるかわからない、見えない悪意に怯えながら、物語を追うことになります。
暗号文が示す法則: ハーカーが解読した暗号文には、事件の法則が隠されていました。しかし、その法則は、ロングレッグスという人物の正体や居場所を示すものではなく、ただただ彼の存在の不気味さを際立たせるだけ。この予測不能な恐怖が、物語全体を支配します。