「触れられない愛と、揺れ動く心—潔癖症に苦しむ絵本作家と書店員の恋、合同カウンセリングで出会った似た者同士、そして“心が動かない男”との三角関係を描く純愛ドラマ『誰よりもつよく抱きしめて』」

本作は、鎌倉の海沿いの街で同棲する絵本専門店店員・桐本月菜(久保史緒里)と絵本作家・水島良城(三山凌輝)の切ないラブストーリーです。良城は強迫性障害による重度の潔癖症を患い、恋人の月菜にすら触れることができずに苦しんでいます。治療を決意した良城は合同カウンセリングで同じ症状を抱える女性・村山千春(穂志もえか)と出会い、初めて「触れられない苦悩」を共有できる相手を得るものの、二人の交流を知った月菜は嫉妬と不安に揺れ動きます。さらに、月菜の前に現れた“恋人と触れ合っても心が動かない”男イ・ジェホン(ファン・チャンソン)が、三者三様の痛みと孤独を交錯させることで、観る者の胸を締めつける展開が待ち受けます。

あらすじと登場人物

鎌倉の海沿いにある静かな絵本専門店で働く桐本月菜は、同棲中の恋人・水島良城と穏やかな日々を送っていたものの、彼の重度の潔癖症によって手をつなぐことすら叶わない状況に悩んでいます。良城は、ビニール手袋を常に着用し、触れる行為を徹底的に避ける生活を送る一方で、自身の症状を克服しようと治療に挑む決意を固めます。

合同カウンセリングで出会った村山千春は、良城と同じく強迫性障害による潔癖症を抱えており、二人は互いの苦悩を言葉にできる唯一の存在として距離を縮めていきます。千春との心の交流を深める良城に、月菜は自らの存在意義を揺さぶられ、嫉妬と孤独感に苛まれるようになります。

そこへ現れたのが、恋人と触れ合っても心が動かない青年イ・ジェホンです。ジェホンは、他者とのフィジカルな接触では感情を得られないという特殊な“空洞”を抱えており、月菜は彼にもまた触れられない痛みを共有できる相手として関心を寄せ始めます。

三者三様の「触れられない愛」が交錯し、月菜、良城、千春、ジェホンの四人はすれ違いと葛藤を深めていきます。それぞれの孤独を抱えながらも互いを思いやり、真実の愛を模索する姿が、静謐ながら胸を震わせる物語へと昇華されます。

見どころと制作背景

本作は「ミッドナイトスワン」で知られる内田英治監督が新堂冬樹の同名恋愛小説を映画化したものです。主演には、BE:FIRSTメンバーとしても注目の若手俳優・三山凌輝と、乃木坂46のエース・久保史緒里が起用され、繊細な感情表現を見事に体現しています。脚本は国境を越えたヒューマンドラマで評価の高いイ・ナウォンが担当し、多彩なキャラクターが紡ぐ群像劇としての厚みを加えています。

ロケ地には海の景観が美しい湘南・鎌倉エリアを選び、光と影を巧みに活かした映像美が作品全体に哀愁を漂わせます。音楽には感情を深く揺さぶるピアノとストリングスを主体とした楽曲が採用され、触れられない痛みと切なさをより一層印象的に演出しています。

まとめ

『誰よりもつよく抱きしめて』は、触れられない二人と触れられない男が織り成す切なくも美しい純愛ドラマです。触れ合うことの尊さを再認識させる一方で、心の距離をいかに縮めていくかという普遍的なテーマを描き出しています。2025年2月7日公開の本作をぜひ劇場でご覧ください。