「老舗バレエ団から舞い込む“死んだバレリーナの呪い”──美貌の宝石商リチャード氏がエメラルドの秘められた想いを見抜くジュエル・ミステリー第2弾!」
『宝石商リチャード氏の謎鑑定 エメラルドは踊る』は、辻村七子による人気シリーズの第2巻。繊細な輝きを放つ宝石に宿る人の“心”を鮮やかに解き明かす、ジュエル・ミステリーです。主人公リチャード氏は、美貌と名声を兼ね備えた敏腕宝石商で、その鋭い鑑定眼は今日も厄介な依頼を次々と解決へと導きます。
あらすじ
老舗バレエ団の支配人から差し出されたのは、一人の死んだバレリーナによって呪われたと噂されるエメラルドのネックレス。重苦しい空気に包まれた稽古場で、依頼人は「使うと必ず怪我人が出る」と震えながら託します。その石を手に取ったリチャード氏は、翡翠のような緑色が踊るかのように輝くエメラルドに隠された“壊れた夢”と“忘れられない愛”を読み解き始めます。
登場人物
- リチャード氏:ロンドン仕込みの宝石商。外見の優雅さとは裏腹に、宝石の内包物や研磨跡から人の事情まで一瞬で看破する卓越の鑑定眼を持つ。
- 正義(まさよし):リチャード氏の店でアルバイトをする大学生。真面目すぎる性格ゆえにたびたび振り回されつつも、師の推理に心酔している。
- バレエ団支配人ほか関係者:石に纏わる悲劇を語る当事者たち。リチャード氏の説明が進むにつれ、それぞれの思い出と罪悪感が浮かび上がる。
見どころ
本作の醍醐味は、“硬質な宝石”を通して露わになる“人の心”と“過去の痛み”の対比です。エメラルドのインクルージョン(内包物)から過去のバレリーナの想いをすくい上げるリチャード氏の鮮やかな推理は、まさに芸術品さながら。加えて、正義との軽妙なやり取りはユーモアと緊張感を交え、物語に柔らかな人間味を添えています。
作品情報
- 著者:辻村七子
- イラスト:雪広うたこ
- レーベル:集英社オレンジ文庫
- ページ数:約266ページ
- シリーズ累計80万部突破・14刷重版のヒット作
まとめ
宝石の輝きに秘められた愛憎と後悔を、名匠リチャード氏が鮮やかに“鑑定”する『エメラルドは踊る』。硬質な宝石が語る悲劇の真相を解きほぐすミステリアスな世界観と、リチャード&正義コンビの絶妙な掛け合いが存分に楽しめる一冊です。文庫でじっくり味わいながら、“宝石に宿る心”の謎に挑んでみてください。