古代ヨーロッパで誕生した神秘の文字 ルーン文字:古代ヨーロッパの魔術文字 (アルケミスト双書)

ルーン文字はAD1世紀頃に成立したゲルマン語の表記に用いられた文字体系で、スカンジナビア語などが語源で「神秘」や「秘儀」を意味する。
ラテン語が普及してルーンが日常で使われなくなると、文字自体に力が宿る魔術文字として、怖れと敬意をはらわれるようになる。
本書ではルーン文字が刻まれた石碑を紹介し、この魔術文字をとおして、ゲルマン神話の世界、アングロ=サクソン人やヴァイキングが活躍するイングランド王国成立の歴史を垣間見る。

1世紀から中世末期にかけて、古代の呪術文字であるルーン文字が碑文などに残され、ヨーロッパ大陸やその周辺地域で広く発見されている。その豊かな歴史のなかで、ルーン文字はさまざまな目的で用いられてきた。
ルーン文字は実用的な目的で、あるいは呪術を目的として、数多くの遺物に刻まれた。そして暗号、謎かけ、詩などのかたちで、神託をたまわる道具、呪術的なシンボル、暦として使われてきた。職人や石工たちの記録としてメッセージを伝えたように、ルーンは個人でも使われ、また古い落書きにも見られる。
洪水によって、土砂によって、過去のさまざまなものが失われてきたが、緑あふれる島イギリスでは今もなお、その土地や河川から、ルーンが刻まれた古い遺物が出土している。この小さな本では、その魅力的な例をいくつか紹介したい。

◎目次
はじめに
ルーン文字の起源
アングロ=サクソンのルーン詩
ルーン詩
ルーン文字:フソルク
ルーン文字対照表
ノースウェルの十字架
ビューカッスルの十字架
ファルストーンの石碑
カークヒートンの石碑
聖ポール大聖堂の石棺
キルバーの石碑
アンドレアス3世の石碑
メイズ・ホウの墳墓(No.9)
メイズ・ホウの墳墓(No.20)
ノロ鹿の距骨
アルの骨壺
赤鹿の枝角
ハンターストンのブローチ
フランクスの小箱
魔よけの指輪
テムズ河の装飾品
テムズ河の短剣
サットンの銀盆
対称的な格子という仮説
敷詰めパズル
ルーン文字の意味と象徴
イギリスにおける民族の移動