絵本『メメント・モリ』が教えてくれる、大切なこと その日、私は図書館でふと足を止めた。本棚に並ぶ数多の絵本の中、ひときわ静かな存在感を放つ一冊が目に留まった。表紙に描かれていたのは、一輪の花とともに書かれたタイトル——『メメント・モリ』。
ラテン語で「死を忘れるな」という意味だということを、以前どこかで聞いたことがあった。
「絵本で『メメント・モリ』? 一体どんな内容だろう?」
好奇心に導かれるままページをめくり始めると、その深いメッセージに心を奪われた。
『メメント・モリ』とはどんな絵本?
この絵本は、一見すると静かな絵本。しかし、その中に描かれているのは「いのち」と「死」、そして「今を生きること」の大切さです。
物語の主人公は、森の中で穏やかに暮らす小さなネズミ。ある日、彼は美しい白い花を見つけます。その花に魅了され、ネズミは毎日それを眺めながら過ごすようになります。しかし、季節が巡るにつれ、その花は徐々にしおれていきます。ネズミは悲しみますが、同時に「花が咲いていた間、どれだけ幸せを感じたか」を思い返すのです。
このシンプルな物語を通じて、私たちは「すべてのものが有限であること」「だからこそ、今を大切にすること」を優しく教えられます。
絵本の魅力
- 詩のように美しい言葉
文章は簡潔でありながら、どこか詩のような響きを持っています。一言一言が心に染み入り、絵本を閉じた後もしばらく余韻が残るような作品です。 - 繊細で幻想的なイラスト
淡い色合いと柔らかなタッチのイラストが、物語のテーマを美しく引き立てています。特に、季節の移ろいを描いたページはため息が出るほど美しい。 - 子どもから大人まで心に響く内容
テーマが「死」というと少し重たく感じるかもしれませんが、この絵本は子どもにも分かりやすく優しい表現で伝えています。大人が読めば、さらに深い気付きが得られるはずです。
読み終わったあとに感じたこと
私はこの絵本を読み終えたあと、思わず家族や友人の顔が浮かびました。普段当たり前に思っていることが、実はとても尊いものであることを改めて感じたのです。
また、「メメント・モリ」という言葉は、決して死を恐れるためのものではなく、むしろ「いま生きていることの奇跡」に気付かせてくれるメッセージなのだと気づきました。
こんな人におすすめ
- 子どもと一緒に「いのち」について考えたい方
- 自然や季節の移ろいが好きな方
- 忙しい日々の中で「いまを生きる」ことを見つめ直したい方
- 深いテーマを持つ絵本に触れたい方
最後に:いのちを見つめるひとときを
『メメント・モリ』は、いのちや時間の有限性についてそっと教えてくれる絵本です。それは決して悲しいことではなく、むしろ「いまここにある幸せ」を見つめ直すための贈り物のような作品です。
子どもと一緒に読むのも良し、大人がひとり静かにページをめくるのも良し。この絵本を手に取ったあなたも、きっと何か大切なことを見つけられるはずです。