「推し」の距離感に一喜一憂する、オタクの魂を揺さぶる共感度200%ラブコメディ！ 人気急上昇VTuberと、 勘違いが止まらない古参ファンの 尊い日常を描く、 笑いと切なさが詰まった現代の絆の物語
現代において、推し活は私たちの生活に欠かせない、光のような存在です。特にVTuberという新しい形のエンターテイメントは、ファンとの距離が近いようで遠い、独特の「尊さ」を生み出しています。本書「VTuber草村しげみ～遠くに行ってしまった気がした推しが全然遠くに行ってくれない話～ 1巻」は、まさにそんな現代の「推しとファン」のリアルな関係性を、切なくもコミカルに描き出した、全てのオタクの魂に響く傑作です。
物語の主人公は、人気急上昇中のVTuber「草村しげみ」。そして、彼の古参ファンであるリスナーです。ファンとして最も幸せな瞬間は、推しの成長を見ること。しかし、推しが有名になり、配信のコメント欄が大量の新しいファンで埋め尽くされ始めたとき、古参ファンは複雑な感情に襲われます。「推しが遠くに行ってしまったのではないか」という、寂しさ、疎外感、そしてちょっぴりの嫉妬が入り混じった、あの独特な感情です。
この作品の最大の魅力は、その「オタク心理の描写」の異常なほどの解像度にあります。古参ファンが抱く、推しが有名になったことへの喜びと、初期の頃の「近さ」を失ったのではないかという不安の間で揺れ動く感情は、読者である私たちの胸に深く突き刺さります。「遠くに行ってしまった気がした」という切ない感情を抱きながらも、実際には「全然遠くに行ってくれない」というタイトルの裏には、ファンが自意識過剰に距離を感じているだけで、推しは常にファンを大切に思っているという、温かい事実が隠されています。
草村しげみというVTuberのキャラクター造形も秀逸です。彼は、ファンが抱くそうした複雑な感情を無意識に理解しているかのように、時に配信で「匂わせ」とも取れるような、古参ファンをドキッとさせる言動をとります。ファン側は、その一言一言に過剰に反応し、「もしかして私に言っている？」「まだ繋がっている！」と一喜一憂する。この勘違いと自己肯定感のジェットコースターこそが、読者にとって最高の共感と笑いを生み出す源なのです。
単なるコメディではなく、本作は「人間と人間の繋がり」の尊さを深く描いています。VTuberとファンという画面越しの一方的な関係に見えても、そこには確かに感情が通い合っており、互いの人生を支え合っているという真実があります。草村しげみがファンからの応援によって成長し、ファンが推しを追うことで日々の活力を得ている姿は、現代における新しい「愛」の形を示しています。
この物語を読んだ後、あなたは、自分の推しとの関係を改めて見つめ直し、「推しがいる日常」の尊さを再認識するでしょう。笑って泣けて、そして胸がキュンとなるこの物語は、全ての推し活経験者にとってのバイブルです。さあ、あなたも草村しげみと、彼の愛すべきファンの世界に飛び込んでみませんか。