夢の迷宮へようこそ。盗まれた夢探知機「DCミニ」が、現実を浸食し始めた時、うら若きセラピスト・パプリカが、悪夢と幻想の世界に挑む。天才クリエイター・今敏が描く、想像力の限界を超えたサイコ・サスペンス・アニメーション。

もし、他人の夢の中に入り込み、その心を治療できる装置があったとしたら、あなたはどうしますか？そんな夢のようなテクノロジーが、現実のものとなった近未来。精神医療総合研究所で開発された画期的な装置「DCミニ」は、患者の夢を共有し、心の奥底にあるトラウマや悩みを解消する画期的なツールでした。しかし、その夢が、悪夢と化す時、現実世界は想像を絶する混乱に陥ります。

映画『パプリカ』は、天才アニメーション監督・今敏が描いた、夢と現実が入り乱れる、サイケデリックでスリリングなSFサイコ・サスペンスです。この物語は、単なるアニメーションの枠を超え、私たちの潜在意識、そして想像力の限界を揺さぶる、圧倒的な映像体験を約束します。

物語の始まりは、研究所から盗まれた3台の「DCミニ」。この装置が悪意ある何者かの手に渡ったことで、事態は一変します。悪夢は現実世界に浸食し始め、人々は夢の中で見た幻覚を現実でも見るようになり、狂気の連鎖が広がっていきます。

この混乱を止められるのは、天才科学者・千葉敦子の別人格である、うら若きセラピスト・パプリカだけです。彼女は、夢の世界を自由自在に操る力を持つ、まさに夢の案内人。しかし、敵は、夢の世界のルールを破壊し、現実をも支配しようとする強大な存在でした。パプリカは、夢の迷宮の中を縦横無尽に駆け巡り、悪夢を食い止めようと奮闘します。

この映画の最大の魅力は、今敏監督にしか描けない、圧倒的な映像美と想像力にあります。夢の世界は、現実の論理が通用しない、まさにカオスそのものです。巨大な提灯が街を練り歩き、家電製品が意思を持ち、人形たちが不気味なパレードを繰り広げます。カラフルで幻想的な映像と、不穏でサイケデリックな音楽が融合し、観客は一瞬たりとも目が離せません。

また、本作は、夢と現実の境界が曖昧になる中で、人間の心の闇を深く掘り下げています。なぜ人々は悪夢を見るのか？夢に潜む欲望や恐怖、そして、現実では見せられない本当の自分。パプリカが患者たちの夢の中に入り込むことで、私たちは、登場人物たちの隠された内面を知り、共感し、そして驚かされます。