成功の頂点に立つ女性CEOと、危険な魅力を秘めた年下インターン。欲望が加速する禁断の駆け引きに、あなたは心を奪われる。行き過ぎた駆け引きをやめさせるためにサミュエルに会いに行ったはずが、逆に主導権を握られしまい…

ファッションとカルチャーの最先端、ニューヨークを舞台に、成功した女性CEOの満たされた人生に、一人の青年が危険な波紋を投げかける──。映画『ベイビーガール』は、予測不能な展開で観る者を惹きつける、官能的でスリリングな心理サスペンスです。

主人公のロミー(ニコール・キッドマン)は、自ら立ち上げた会社でCEOとして大成功を収め、誰もが羨む地位と富を手に入れています。私生活でも、舞台演出家の夫ジェイコブと、二人の愛する娘たちに囲まれ、完璧な人生を謳歌しているように見えました。しかし、彼女の心の中には、満たされない何かが静かに燻り続けていたのかもしれません。

そんなロミーの前に現れたのが、若く才能に溢れたインターン、サミュエル(ハリス・ディキンソン)です。彼は、ロミーのカリスマ性に惹かれ、そして彼女の中に眠る、仕事や家庭では抑圧されてきた「欲望」を見抜きます。サミュエルは、露骨なまでにロミーを挑発し、まるで危険なゲームのように、二人の間には張り詰めた緊張感が生まれていきます。

ロミーは、この行き過ぎた駆け引きをやめさせるために、サミュエルと直接会うことを決意します。しかし、それは彼女の人生を大きく揺るがす、決定的な選択でした。会う場所は、人目を忍んだ密会にふさわしい、ニューヨークの一室。そこでロミーは、一歩も引かないサミュエルの挑発に、気づけば自らが主導権を握られることになってしまいます。

この映画の最大の魅力は、ロミーとサミュエルの間で繰り広げられる、緻密でスリリングな心理戦です。言葉の応酬、視線の交錯、そして互いの心の隙間を探り合うような駆け引きは、観客をその空間に引きずり込み、息もつけないほどの緊張感を与えます。ロミーは、自分の立場や家族を失うかもしれないという恐怖と、サミュエルが引き出す新たな自分への好奇心の狭間で、激しく揺れ動きます。彼女の葛藤は、観る者自身の「理性と欲望」の葛藤を映し出すかのようです。

ニコール・キッドマンは、成功者としての毅然とした強さと、内面に抱える脆弱さや欲望を、見事に演じきっています。そして、対するハリス・ディキンソンが演じるサミュエルは、若さゆえの危うさと、人を惹きつける抗いがたい魅力を兼ね備え、ロミーだけでなく観客の心をも翻弄します。二人の緊迫した演技の掛け合いは、この映画に唯一無二の魅力を与えています。

ニューヨークの洗練された街並みや、ファッション業界の華やかな世界が背景にある一方で、物語は人間の内面に深く切り込んでいきます。成功や幸せの定義、そして本当に満たされるとはどういうことなのか──。この映画は、私たち自身の「欲望」について、深く考えさせられるでしょう。

刺激的で官能的なシーンも含まれますが、これは単なるエロティックな描写ではありません。ロミーの心の解放、そして人間的な成長を描く上で、必要不可欠な要素として描かれています。

完璧な人生の裏に隠された、人間の本能的な欲望。そして、その欲望に正直に向き合った時、何が生まれるのか。『ベイビーガール』は、あなたの心を深くえぐり、そして、忘れられない余韻を残すでしょう。

成功と欲望、そして禁断の愛の行方を、ぜひその目でお確かめください。この映画は、あなたの「常識」を揺るがすかもしれません。