「縁切り寺に駆け込む女たちと戯作者志望の駆出し医師――東慶寺御用宿・柏屋で紡がれる人情離縁劇!」口八丁手八丁、奇抜なアイデアと戦術で男と女のもつれた糸を解き放ち、ワケあり女たちの人生再出発を手助けしていくが

江戸時代後期、質素倹約令によって庶民の暮らしは逼迫し、鎌倉の幕府公認縁切寺・東慶寺には離縁を望む女たちが救いを求めて駆け込んできた。だが、寺に入る前には御用宿・柏屋で事情聴取が必須となり、その役目を担うのが見習い医師で戯作者志望の信次郎だった。柏屋の主人・源兵衛と共に、口八丁手八丁の離縁調停を行い、女たちのもつれた人生を解きほぐす日々を送るうち、信次郎は真の人情と江戸の社会構造を学んでいく。本作は、原案に井上ひさしの『東慶寺花だより』を据え、『クライマーズ・ハイ』などで知られる原田眞人監督が、人情味あふれるドラマとユーモアを交えながら縁切り文化を活写した時代劇映画である。

あらすじ

江戸幕府の質素倹約令により市井は困窮し、女性が離縁を願う手段は極めて限られていた。鎌倉の東慶寺は女の駆込みを公認する唯一の寺院だが、駆込み直後は御用宿・柏屋での事情聴取を経なければ正式な保護対象とならない。見習い医師で戯作者志望の信次郎(大泉洋)は、その御用宿に居候し、駆込み女たちの心情を聞き取りつつ、源兵衛(樹木希林)と共に“離縁調停人”として奔走することになる。妾から抜け出したいお吟(満島ひかり)、火傷痕を抱えるじょご(戸田恵梨香)ら、事情は多種多様で、信次郎は口八丁による説得と奇抜な企てで彼女たちを救い出していく。

登場人物とキャスト

  • 蓮田信次郎(大泉洋):駆出しの医師。戯作者に憧れ、人々の話を聞くうちに本当の物語を紡ぎ始める。
  • 源兵衛(樹木希林):柏屋の主人。全幅の信頼を寄せる信次郎を弟のように扱い、調停の達人として女たちを支える。
  • お吟(満島ひかり):夫の暴力に耐えかねて駆込み。信次郎の人情に触れ、自立への一歩を踏み出す。
  • じょご(戸田恵梨香):火傷の痕を抱えて東慶寺に逃げ込む。繊細な心情と社会の偏見を乗り越えようともがく。
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見どころ

  1. 人情溢れる離縁調停劇

江戸時代の男女関係をテーマに、現代にも通じる“人と人との絆”を原田監督独特のユーモアと温かみで映し出す。

  1. 豪華キャストの妙演

大泉洋のコミカルかつ誠実な演技、樹木希林の懐深い語り口、満島ひかり・戸田恵梨香ら若手の熱演が群像劇に厚みを与える。

  1. 時代考証と美術の再現度

複雑な江戸後期の社会制度を分かりやすく描きつつ、鎌倉の風景や小道具の精巧な再現で当時の雰囲気を忠実に再現している。

  1. 原作の精神を受け継ぐ脚本

井上ひさしの原案を基に、脚本も原田眞人が手がけ、史実とフィクションが絶妙に交錯するドラマチックな展開が見どころだ。

まとめ

『駆込み女と駆出し男』は、江戸時代の縁切文化を題材にしながら、現代にも通じる人間ドラマとして昇華した傑作時代劇である。笑いと涙のバランスが取れたストーリー、息をのむ演出、魅力あふれるキャストによって、多くの観客を魅了し続けている一作をぜひご覧ください。