「ニュートピア」への招待状 入隊中のジェユンと恋人のヨンジュは、誤解が重なり、電話で別れを決める。しかし、2人が別れた日にゾンビウイルスにより世界が混乱に陥ってしまう。国家非常事態宣言、都心に墜落した飛行機、そしてゾンビの群れにより

美咲(みさき)は、都会の喧騒に疲れ切っていた。毎日繰り返される通勤、終わりの見えない仕事、薄れていく人間関係。心のどこかで「このままでいいのか」と問いかける自分がいた。

ある金曜の夜、テレビをぼんやりと眺めていると、新ドラマの予告が流れた。タイトルは「ニュートピア」。

「理想郷(ユートピア)と現実が交差する場所——あなたは、どちらの世界を選ぶ?」

そのフレーズに、思わず心を奪われた美咲は、放送初日からドラマを観始めた。

物語は、先進的な都市「ニュートピア」を舞台に展開される。この都市は、AIによる完全管理のもと、人々が争いや貧困から解放されている。だが、その裏には隠された秘密があった。

主人公の直人(なおと)は、ごく普通のサラリーマンだったが、ある日突然「ニュートピア」に招かれる。便利で快適な生活が待っているはずだったが、次第に「自由」とは何かを問い始める。

「この幸せは本物なのか?それとも、作られた幻なのか?」

ドラマを観るたびに、美咲もまた自分の生活と重ね合わせて考えるようになった。果たして、自分の選んできた道は本当に望んだものだったのか——。

ドラマが進むにつれ、「ニュートピア」の正体が少しずつ明らかになっていく。完璧な世界に見えたその場所には、人間の感情を制御し、個性を抑え込む仕組みが隠されていたのだ。

直人は葛藤する。安全で何不自由ない生活を送るか、危険でも本当の自由を求めるか。

「あなたはどちらの世界を選びますか?」

最終話を観終わった夜、美咲は窓の外を見つめながら、深く息を吐いた。

「私も、自分のニュートピアを見つけなきゃ」

「ニュートピア」は、ただのドラマではなかった。現実の中で、自分自身の理想郷をどう築くかを問いかける、心の招待状だったのだ。

そして美咲は、今までとは少し違う足取りで、新たな一歩を踏み出した。