米倉涼子主演「エンジェルフライト」が待望の映画化。国境を越え遺体を運ぶ国際霊柩送還士が描く、死者との奇跡の再会。メキシコ死者の日を舞台に、向井理演じる恋人との宿命の対話と涙の別れを描く珠玉の感動作。

愛する人が、異国の地で突然物言わぬ姿となってしまったら。その悲しみと混乱の淵に立つ遺族のもとへ、故人を「生きていた時の姿」のまま送り届けるプロフェッショナルたちがいます。人気シリーズがついに映画化された「エンジェルフライト」は、死という絶対的な別れの中に、魂の救済を見出す国際霊柩送還士たちの孤独で気高き戦いの記録です。

物語の舞台は、死者が家族のもとに帰ると信じられている「ハロウィン」、そしてメキシコの「死者の日」。色鮮やかなマリーゴールドが街を埋め尽くす中、米倉涼子演じる那美が率いる「エンジェルハース」には、国境を跨いだ複雑な事情を抱える依頼が次々と舞い込みます。メキシコへ流れ着いた初老の夫婦、わずか1年で生涯を閉じた赤ちゃんとその家族、世界一周を夢見た車椅子の青年。それぞれの人生が、死という終止符を打たれた瞬間、送還士たちの手によって最後の輝きを放ち始めます。

実際に映像を目の当たりにすると、遺体を修復し、身なりを整えるその指先に込められた、言葉にならないほどの深い慈しみに圧倒されます。死を忌むべきものではなく、人生の尊い締めくくりとして捉える彼らの視点は、観る者の死生観を根本から揺さぶる力を持っています。特に、日本人の妻とイタリア人の夫の間に生まれた赤ちゃんの送還シーンでは、国家や言語の壁を超えた「親の愛」の普遍性に、激しい落涙を禁じ得ません。

今作の最大の焦点は、那美自身の止まった時間が動き出す瞬間にあります。生存情報がもたらされた恋人、幸人。向井理演じる彼との再会を願い、那美は狂乱と祈りが交錯するメキシコへと向かいます。生と死の境界が曖昧になる「死者の日」に、彼女が辿り着く真実とは何なのか。再会がもたらすのは希望か、それとも残酷な決別か。那美の剥き出しの感情が、祭りの熱気と重なり合い、物語は究極のクライマックスへと突き進みます。

作品を通じて伝わってくるのは、「さよなら」を言えることの幸福です。突然の断絶に立ち尽くす人々が、送還士たちの手助けによって、故人と最期の対話を果たす。そのプロセスを経て初めて、遺された人々は再び歩き出す勇気を得るのです。この映画は、大切な人を亡くした経験を持つすべての人、そして「いつか訪れる別れ」を恐れるすべての人に贈る、再生の物語です。

観終えた後、あなたの心には、メキシコの夜空に放たれた祈りの灯火のような、静かで温かな光が宿っているはずです。死は終わりではなく、形を変えた愛の始まりである。そう確信させてくれる本作を、ぜひ大切な誰かを想いながら受け止めてください。国境を越えた先にある、魂の着陸地点。その奇跡の瞬間を、あなたの瞳で届けてください。