怪異と子供たちが紡ぐ、可笑しくも切ない現代の神話。令和のダラさん第七巻。恐ろしくも愛らしい大蛇神と、純真な姉弟の絆が描く唯一無二の日常。ホラーと笑い、そして涙が交錯する、心揺さぶる至高の伝奇コメディ。

恐怖の裏側にある深い慈愛:『令和のダラさん』第七巻が照らし出す、異形と人間の境界線

かつて畏れられた古の神や妖怪たちが、現代という令和の時代にどのような姿で存在しているのか。その答えを、これほどまでに愛らしく、そして切実な筆致で描き出した作品が他にあるでしょうか。Twitter(現X)での連載開始直後から、その圧倒的なビジュアルとキャラクターの深みで読者を魅了し続けてきた『令和のダラさん』。待望の第七巻は、物語の核心に迫りつつも、変わらぬ温かな日常の尊さを私たちに教えてくれます。

本作の最大の魅力は、なんといっても主人公である「ダラさん」こと大蛇神・屋敷野蛇羅の特異な造形と、その内面に宿る人間臭い優しさにあります。一見すれば身の毛もよだつような巨大な怪異でありながら、現代の文明に翻弄され、純真な姉弟である日向と薫に振り回される彼女の姿は、滑稽でありながらも不思議な神々しさを湛えています。第七巻では、彼女の過去や周囲を取り巻く他の怪異たちの思惑がより鮮明になり、コメディとしての軽快さと、伝奇ホラーとしての重厚な緊張感が絶妙なバランスで共存しています。

実際にページをめくって感じたのは、異形の存在に対する作者の深い敬意と愛です。怪異は決して、ただ排除されるだけの恐怖の対象ではありません。彼らにもまた、守りたかったものや、忘れ去られた歴史の痛みがあります。日向たちが偏見なくダラさんと接する姿は、私たちが忘れかけていた「他者をそのまま受け入れる」という純粋な心の在り方を、そっと再認識させてくれます。今巻でも、怪異たちの凄惨な争いの中に、ふとした瞬間の情愛が差し込む描写があり、そのコントラストに思わず胸が熱くなりました。

created by Rinker
¥752 (2026/01/07 15:05:48時点 Amazon調べ-詳細)

Kindle Unlimited 無料体験

また、本作特有の細密な描き込みも特筆すべき点です。ダラさんの異形としての迫力ある描写と、日常シーンでのコミカルな表情のギャップ。この緩急の付け方が、読者を飽きさせることなく物語の深淵へと引き込んでいきます。笑って、怖がって、そして最後には温かな涙がこぼれる。そんな多層的な感情体験が、この一冊の中に凝縮されています。

『令和のダラさん』第七巻は、現代社会を生きる私たちが失いつつある「畏怖」と「愛」を同時に思い出させてくれる、魂の物語です。怪異と人間、異なる世界に住む者同士が、それでも言葉を交わし、心を寄せ合う。その一見不可能な奇跡が、ここでは確かに日常として存在しています。ダラさんが見せる不器用な献身と、子供たちが放つ希望の輝き。その美しき共鳴を、ぜひあなた自身の目で見届けてください。