学園祭の祝祭が一転、軍学校襲撃の戦場となる――極東ロシアの英雄・川上啓太が、愛機から量産型機へと転じ、学友たちと刃を交えながら、人類の宿敵と真っ向勝負を繰り広げる、迫力満点のハイスピード青春ハイファンタジー最新第3巻!

『極東救世主伝説3 少年、世界の敵と相対す。―軍学校襲撃編―』は、WEB発の才能が集うカドカワBOOKSレーベルにて2025年5月10日に刊行された注目作の第3巻です。著者は仏ょも、イラストは黒銀が担当し、四六判・276ページのボリュームで、定価1,540円(税込)という手頃さも嬉しい一冊です。

本巻では、前巻で魔物の襲撃を受けた都市を救い、極東ロシアの英雄として名を馳せた川上啓太が帰国を果たした直後から物語が動き出します。彼を迎えたのは、壊滅的な被害を受けた国防軍と、異例の規模で開催される軍学校の学園祭でした。

学園祭の目玉となるのは、Aクラス全員が魔装機体を駆って行う模擬戦。しかし啓太に用意されたのは、彼専用の特注機ではなく、量産型の“御影”でした。さらに、学園祭の裏側ではある極秘任務が進行中――それは人類の宿敵と呼ばれる魔物の調査および殲滅計画であり、学友たちとの模擬戦は、いつしかリアルな生死を賭けた訓練へと変貌していきます。

川上啓太は愛機を奪われた屈辱と、英雄としての責任感の間で葛藤しつつも、仲間たちと協力して襲撃の真相に迫ります。一方、学園祭を楽しむはずだったクラスメイトたちも次々と実戦へと巻き込まれ、互いの信頼と絆が試されることに――。やがて、軍学校の施設内を蹂躙する魔物の群れと、裏で糸を引く“真の敵”の存在が明らかになり、啓太は再び本物の戦場へと身を投じていきます。

本作の魅力は、シリアスな戦闘描写と学園ものの要素を絶妙に融合させた点にあります。学祭という青春イベントを舞台にしながらも、読者を一瞬で緊張の頂点へ引き込むハイスピードのバトルシーンは圧巻です。また、量産型機体で挑む啓太の“逆境ヒーロー”ぶりや、学友たちとの掛け合い、そして謎に包まれた敵の正体が、読後の余韻を深く印象づけます。

加えて、著者・仏ょもの巧みなプロット構成に加え、黒銀のダイナミックな挿絵が随所に散りばめられ、物語の世界観を豊かに彩っています。戦闘パートだけでなく、日常の風景や学園祭の華やかさも鮮やかに描写されており、読者は主人公たちと共に緊張と解放感を味わうことができます。

巻末には次巻への布石となるプロローグも収録され、シリーズの未来展開を期待させる仕掛けが満載です。『極東救世主伝説3』は、ここまでの物語をさらに加速させ、青春×SFファンタジーの新しい魅力を提示する一冊。すでにシリーズを追いかけているファンはもちろん、初めて手に取る読者にも強くおすすめできる迫力作です。