【ゴシック・ダークファンタジーの最高峰】「バンパイアハンターD」!耽美な世界観で魅せる“ダンピール”の孤独な追走劇!異能バトルと運命が交錯する傑作アクション!

貴族の黄昏、ダンピールの孤独。川尻善昭監督が描く、耽美で壮絶なゴシック・アクション大作!『バンパイアハンターD』

人類が栄華を極めた後の遠い未来。かつて世界を支配した「貴族」(バンパイア)は原因不明の衰退期を迎え、その栄光はたそがれの中にありました。しかし、辺境に残る一部の貴族は、なお人々の脅威であり続けています。そんな時代、人々の希望でありながら恐れられる存在が、貴族と人間の混血児<ダンピール>のバンパイアハンター“D”です。

貴族の長所と弱点の両方を持ち、桁違いの能力を持つDは、その宿命ゆえに孤独な存在。本作は、その孤高のハンターDの追走劇を描いた、菊地秀行氏の原作小説を、川尻善昭監督がゴシックホラー、SF、西部劇の要素を融合させ、圧倒的な映像美でアニメーション化した傑作です。

【孤独な美剣士Dの追走と宿命の対決】

物語は、荘園主の令嬢シャーロットが、貴族マイエルリンクに誘拐されたことから始まります。令嬢を取り戻すよう依頼されたDは、マイエルリンクの後を追うことになりますが、彼らの前には、卑劣な手段も厭わない人間のバンパイアハンター集団「マーカス一家」が立ちふさがります。

Dの「貴族」としての血と、「人間」としての依頼の狭間で揺れ動く静かな内面は、クールで感情を表に出さない彼の魅力の一つです。そして、Dの左手に寄生する、人の心を読むことができる「人面疽」とのコミカルでありながら哲学的とも言える掛け合いも、物語にユニークな彩りを添えています。

【川尻善昭監督が魅せる「芸術的なアクション」】

本作の最大の魅力は、その比類なき映像美とスタイリッシュなアクションです。

川尻善昭監督の真骨頂である、緻密に描き込まれた退廃的な背景美術と、闇夜に映える光の使い方は、まさに「動く絵画」のよう。ゴシックでダークな世界観を、華麗かつ耽美に描き出し、観客を幻想的な世界へ引きずり込みます。

Dと、マイエルリンクに付き従う異能を持つ護衛たちとのバトルは、影に潜む、木と同化する、狼に変身するなど、多彩な異能が飛び交う現代の異能バトルものの源流ともいえる壮絶さです。Dが振るう長剣による流麗な剣戟は、スピード感と重厚感を兼ね備えており、一つ一つの動作が研ぎ澄まされた美しさを見せつけます。

【哀しくもロマンティックな結末】

単なるアクションやホラーに留まらないのが、本作の深みです。

貴族と令嬢、そしてDの孤独な追走が織りなす物語には、時を超えたラブロマンスの要素や、滅びゆく種族の哀愁が漂います。終盤、Dとマイエルリンクの闘いが迎える結末、そして物語を締めくくるエンディングは、観客に深い余韻と、ほのかな希望を残します。

製作から長い年月が経っても、その革新的な世界観と映像クオリティは色褪せません。ゴシックホラー、SF、そして異能アクションが混然一体となった、日本の長編アニメーション史に残る傑作を、ぜひその目で確かめてください。