異世界の沙汰は社畜次第。聖女召喚に巻き込まれたサラリーマンが経理の知略で王宮を救う。氷の貴公子アレシュとの命懸けの絆と魔力供給。仕事への情熱と切ない恋が交錯する、疲れた心に刺さる異世界救済ファンタジー。

「仕事があるから、生きていける」――そんな切実で、どこか悲しい社畜根性を抱えたまま、異世界へと放り出された男がいます。本作の主人公・近藤誠一郎は、三十路を前にして聖女召喚の余波に巻き込まれるという災難に遭いながらも、転移先で真っ先に「仕事をください」と願い出るほどの仕事人間です。彼が向かったのは、腐敗と混乱の極みにあった王宮の経理課。現代日本で培った緻密な事務能力と不屈の精神を武器に、彼は異世界の歪んだ財政を鮮やかに立て直していきます。
しかし、この物語の本質は単なる内政改革ではありません。過労死寸前の彼を救った一枚の「栄養剤」が、物語を予想もしない官能と切なさの渦へと引き込みます。異世界の魔素に対する耐性がない誠一郎にとって、その薬は命を削る毒でもありました。死の淵に立つ彼を救えるのは、魔力を持つ者との深い接触による「魔力の馴染ませ」のみ。そこで彼の手を取ったのが、誰もが恐れる「氷の貴公子」こと、第三騎士団長のアレシュでした。
私自身、この作品を読み進める中で最も心を揺さぶられたのは、誠一郎の孤独なまでのプロ意識と、それを強引に、かつ献身的に包み込もうとするアレシュの不器用な情熱です。効率と数字だけを信じてきた誠一郎が、アレシュの体温と魔力に触れることで、凍りついていた己の感情を少しずつ露わにしていく過程は、あまりにも美しく、そして官能的です。誰かのために働くことでしか自分の価値を見出せなかった男が、ただ「生きていてほしい」と願う一人の男と出会う。その救済の物語に、涙を禁じ得ませんでした。
アニメ化によって、王宮経理課の緊迫した空気感や、騎士団長アレシュの冷徹な仮面が剥がれ落ちる瞬間の描写がどう表現されるのか、期待に胸が高鳴ります。これは、日々の業務に追われ、自分を後回しにしている現代人への、最も激しく、最も優しいエールです。
仕事への誇りと、抗えない運命の恋。その狭間で揺れ動く誠一郎の生き様は、あなたの日常に新しい輝きを与えてくれるはずです。理不尽な世界を変えるのは、魔法でも聖女でもなく、一人の社畜の真摯な情熱であるという真実に、ぜひ触れてみてください。






















