すずめの戸締まり九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽（すずめ）は、「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。彼の後を追うすずめが山中の廃墟で見つけたのは、まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ、古ぼけた扉。

ある日、ふと目にした予告編に心を奪われました。それは、新海誠監督の最新作「すずめの戸締まり」だったのです。どこか懐かしい風景の中で、少女が一人、扉を閉めるシーンが映し出され、何か不思議な力に引き寄せられるように、映画館へ足を運びました。

「すずめの戸締まり」は、ただのアニメ映画ではありません。物語の舞台となるのは、現代の日本。しかし、そこには現実と幻想が交錯する世界が広がっています。主人公のすずめは、ある日、突然現れる不思議な「扉」と出会います。その扉は、ただの建物の一部ではなく、災害を防ぐために閉じなければならない特別な存在。すずめは、その「戸締まり」を任され、全国各地を巡りながら、一つ一つの扉を閉じていくのです。

映画が進むにつれ、すずめの成長とともに、彼女を取り巻く人々との絆が描かれ、観客は思わず胸を打たれます。人と人とのつながり、自然の力、そして大切なものを守るために戦う姿—そのすべてが、美しい映像と共に心に残ります。

新海誠監督ならではの、繊細で美しいアニメーションが、幻想的な世界観を見事に表現しています。光と影、空の色、風景の一つ一つが、まるで絵画のように美しく、観る者をその世界に引き込んでいきます。加えて、音楽も映画の雰囲気を完璧に引き立て、感情の波をより一層高めてくれる要素となっています。