全国民を数学人質に!?四色問題・フィボナッチ数列・円周率――天才数学少女が挑む“数学テロ”潜入サスペンス『浜村渚の計算ノート』講談社文庫「数学の地位向上のため国民全員を人質とする」。天才数学者・高木源一郎が始めたテロ活動。
『浜村渚の計算ノート』(講談社文庫)は、女子中学生・浜村渚が、数学者・高木源一郎(ドクター・ピタゴラス)が引き起こす“数学テロ”を、四色問題やフィボナッチ数列、円周率などのパズルを駆使して解き明かす、新時代の数学ミステリーです。
著者・シリーズ背景
本作の著者・青柳碧人(あおやぎ・あいと)は、第3回「講談社Birth」小説部門でデビューを飾った実力派作家で、シリーズ第1作は同賞を受賞し話題となりました。執筆のきっかけは、中学生に「数学なんて何の役に立つの?」と問われたことへの答えを模索したことにあると語っています。2019年10月時点でシリーズ累計110万部を突破し、文庫化後も高い人気を維持しています。
主な登場人物
- 浜村渚(はまむら なぎさ):中学2年生の天才数学少女。数学的直観と論理で警視庁特別チームに抜擢されるヒロインです。
- 高木源一郎(ドクター・ピタゴラス):元大学教授の数学者。数学の地位向上を目的に、“国民全員を数学人質”とするテロを企てるマッドサイエンティストです。
- 警視庁特別捜査チーム:数学テロ対策の最終兵器として渚を擁し、理論派+現場派による異色のチームが組まれます。
あらすじ
数学の地位を向上させるため、天才数学者・高木源一郎は「国民全員を人質とする」と宣言し、彼が開発した教育ソフトを通じて日本人を予備催眠状態にします。催眠を受けた国民は、命令ひとつで加害者にも被害者にもなりうる危険な存在となり、政府は対応に苦慮。最終的な切り札として選ばれたのが、数学的才能に溢れる女子中学生・浜村渚でした。四色問題やフィボナッチ数列、円周率の特性をヒントに、渚はドクター・ピタゴラスの罠を一つずつ解いていきますが、真の狙いはさらに深遠で……。ラストには思わず膝を打つ数式の仕掛けが待ち受けます。
本書の魅力
- 数学×ミステリーの融合:単なる暗号解読ではなく、純粋数学の問題をドラマティックに物語に組み込んだ新感覚ミステリーです。
- 知的な爽快感:主席入学程度の難度から円周率の秘密まで、解くごとに“なるほど!”と腑に落ちる快感が味わえます。
- キャラクターの魅力:渚のクールかつ愛らしいキャラクター性と、捜査チームとの軽妙なやり取りが物語を彩ります。
- クイズコーナー:各章末には“青柳碧人先生からの挑戦状”として読者参加型の問題があり、解き進める楽しさが倍増します。
シリーズ展開とメディアミックス
本シリーズは文庫の他に、講談社Birth版や青い鳥文庫版も刊行され、ビジュアル版・児童向け版でも人気を博しています。さらに2013年からは漫画版が『月刊少年シリウス』で連載され、2023年にはミュージカル化も決定――岸祐二や上山竜治ら豪華キャストで舞台化され、幅広い層に支持されています。
おすすめポイント
- 数学嫌いの方にも:難しそうに見える数学パズルがストーリーのキーになることで、自然に関心が湧きます。
- 推理小説ファンにも:論理的なトリックと人間ドラマの両立により、推理好きも満足できる講談社文庫らしい高品質ミステリー。
- 読書会や学校教材にも:問題を解きながら仲間と議論できるため、学習刺激としても最適です。
新時代の数学ミステリー『浜村渚の計算ノート』は、理系・文系を問わず知的好奇心を刺激し、読後には数学の美しさと物語の深い余韻に浸れる一冊です。あなたもぜひ渚とともに、数式の迷宮を解き明かしてください!