英国推理作家協会賞ゴールドダガー受賞作・日本語版『われら闇より天を見る』――13歳の少女自称「無法者」ダッチェスと警察署長ウォークが、30年前の悲劇を巡る運命の鎖に挑む重厚クライム・サスペンス【早川書房/鈴木恵訳/2022年8月17日発売】
『われら闇より天を見る』は、クリス・ウィタカーのベストセラー長篇小説『We Begin at the End』の邦訳版で、2022年8月17日に早川書房から刊行された単行本・ソフトカバー全520ページの一冊です。翻訳は鈴木恵氏、挿絵をagoera氏が担当し、日本語読者にも臨場感あふれる物語世界を届けます。
舞台は米カリフォルニア州の海沿いの町ケープ・ヘイヴン。30年前、少女スター・ラドリーが命を落とす事件が町を震撼させ、その真相は今も深い闇を残しています。自らを「無法者」と呼ぶ13歳の少女ダッチェスは、心を閉ざした母スターと幼い弟ロビンを守りながら、理不尽な現実に抗う日々を送ります。町の警察署長ウォークは、かつて親友ヴィンセント・キングを逮捕に導いた自身の証言を今も悔い続け、過去の影に囚われています。
物語の転機は、30年の服役を終えてヴィンセントが町へ帰還したこと──。彼の帰還によってかろうじて保たれていた平穏は破られ、ダッチェスとウォークの人生が再び過去の悲劇と交錯していきます。予測不能の展開と緻密な人間ドラマが絡み合い、ページをめくる手が止まらないスリリングな長篇クライム・サスペンスです。
本作は、2021年に英国推理作家協会(CWA)賞ゴールドダガー(最優秀長篇賞)をはじめ、オーストラリア推理作家協会ネッド・ケリー賞最優秀国際犯罪小説賞、シークストン賞最優秀賞、シアクストン賞など数々の国際賞を受賞しました。また、日本でも「このミステリーがすごい! 2023年版」海外編第1位、「本屋大賞」翻訳小説部門第1位を獲得し、多くの書評で絶賛されています。
著者クリス・ウィタカーは、ロンドン出身の経歴を持ち、『消えた子供 トールオークスの秘密』でCWA新人賞を受賞後、本作で国内外の主要賞を総なめにした実力派ライターです。13歳の“アウトロー”少女ダッチェスの大胆不敵さと、正義感あふれる署長ウォークの苦悩が織りなす対比は、読者の胸を高鳴らせるでしょう。
深い人間ドラマと裁かれざる過去の行方──。正しさとは何か、許しとは何かを問う本作は、暗い過去の闇の向こうに差す一条の光を力強く描きます。荘厳なクライム小説の傑作を、ぜひ手に取ってご堪能ください。