「楽な仕事なんて存在しない」──広告界の鬼才・佐藤可士和と博報堂伝説のコピーライター・箕輪厚介が語る、“憂鬱”から逃げない働き方とは? 『憂鬱でなければ、仕事じゃない』は、仕事の本質を鋭く突く覚悟の書!
「朝起きて仕事に行くのが憂鬱だ」「やりたいことが仕事にならない」「熱意が空回りして疲れてしまう」──そんな“働くことへのモヤモヤ”を抱えているすべての人に向けて届けたい一冊が、『憂鬱でなければ、仕事じゃない』(講談社+α文庫)です。
本書は、広告業界で一線を走る二人の男――クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏と、編集者・プロデューサーの箕輪厚介氏(文庫版では編集者視点も加わっています)による対話形式で展開されます。仕事の現場で“本当に必要なこと”“仕事の本質”を赤裸々に語り合うこの本は、表面的な「仕事術」や「時短テクニック」ではなく、もっと根本的な“心構え”を提示してくれる、まさに働く人の「生きる指針」と言えるでしょう。
タイトルの『憂鬱でなければ、仕事じゃない』という強烈なフレーズは、一見するとネガティブに感じられるかもしれません。しかしその真意は、「仕事は楽しいことだけではない。だからこそ、そこに本物の価値が宿る」という考え方にあります。
佐藤可士和氏はユニクロ、楽天、国立新美術館など数々のブランディングを成功させてきたクリエイターです。一見、華やかに見えるその仕事の裏には、数えきれないほどのプレッシャー、試行錯誤、そして“憂鬱”があったと語ります。常に高いレベルが求められる現場で、自分の限界を押し広げるように挑戦し続けることこそが、「本物の仕事」であると。
一方、編集者として“熱狂”をテーマに奔走してきた箕輪厚介氏も、「楽しい仕事しかしたくない」と言う若者に対して、明快にこう返します。
「楽しいだけの仕事なんて、プロの世界には存在しない。」
楽しいことを仕事にすることは可能です。しかし、それを“仕事”として成り立たせるためには、必ず苦しみや葛藤が伴います。本当にやりたいことだからこそ、思い通りにいかないときは人一倍辛い。そして、その“憂鬱”にどう向き合い、自分をどう保ち、進むべきかを模索することが、働くという行為の核心なのです。
本書では、次のようなテーマについて二人が熱く語り合います。
- 情熱はどこから生まれるのか
- 本気で仕事と向き合うとはどういうことか
- 成長を感じられないとき、どう踏ん張るか
- 結果を出し続けるための習慣と考え方
- クリエイティブに必要な“余白”と“覚悟”
特に印象的なのは、「逃げたいと思ったときが、成長の入り口だ」という考え方です。多くの人が“楽な道”や“無理のない働き方”を追い求める時代にあって、この本はあえて“踏ん張ること”を肯定します。それは、理不尽を受け入れろということではなく、「困難の中にこそ、自分にしかできない仕事が見つかる」という意味なのです。
また、現代の若い世代にありがちな“燃え尽き症候群”や“モチベーション迷子”に対しても、本書は一貫してこう伝えます。
「憂鬱を感じるのは、ちゃんと仕事に向き合っている証拠だ」
つまり、悩むこと、辛く感じること、やる気が出ないことさえも、“働く”という人間的な営みの自然な一部であると認めてくれる。それがこの本の魅力であり、読者の心を軽くする力になっているのです。
決して精神論だけではなく、日々の仕事で実践できる「自分の軸のつくり方」や「折れない姿勢の保ち方」も多く語られており、読後には「明日、もう少しだけがんばってみよう」と思えるはずです。
仕事に疲れたとき、情熱が冷めかけたとき、自分の進む道が見えなくなったとき──この本を手にとってください。
『憂鬱でなければ、仕事じゃない』は、働くことの意味を再発見させてくれる、心に深く刺さる一冊です。