犯罪都市 PUNISHMENT 新種合成麻薬事件から3年後の2018年。ヤクザも恐れる怪物刑事マ・ソクト(マ・ドンソク)とソウル広域捜査隊は、デリバリーアプリを悪用した麻薬密売事件を捜査していた。マ刑事は捜査を進めるうちに、手配中のアプリ開発者が謎の死を遂げた
夜の街は、薄暗いネオンの明かりに照らされながらも、どこか冷たく孤独な空気に包まれていた。巨大な摩天楼の谷間には、日々の罪と裏切りが渦巻く――それが、この「犯罪都市」だった。
そんなある夜、一人の男が静かに現れた。彼の名はPUNISHMENT。腐敗した権力と暴力が支配するこの都市で、正義という言葉が失われた中、彼だけが己の手で罰を下すと決意した男である。PUNISHMENTは、決して法に囚われることなく、あらゆる闇に光をもたらすため、影の中から静かに、しかし確実に動き出した。
物語は、元刑事の主人公・拓海が、かつてこの街で起きた無数の事件を追い続けた日々から始まる。彼は、闇の中で一筋の希望を見出せずにいたが、PUNISHMENTの存在が次第に噂となり、被害者たちの間にささやかな希望を呼び起こしていった。
ある雨降る夜、拓海はひとりの女性から衝撃的な告白を受ける。彼女は、長い間家族を守れなかった自分の無力さに絶望し、ただひたすらに加害者たちに報いを求めていた。そんな彼女の涙を目の当たりにした拓海は、PUNISHMENTの真意を探るべく、密かにその足跡を追い始める。
やがて、荒れ狂うギャング組織との壮絶な抗争、そして政治家や警察内部の裏切りに立ち向かう過程で、拓海はPUNISHMENTの正体と、その覚悟に触れることになる。彼は、PUNISHMENTが単なる復讐者ではなく、失われた正義を取り戻すための存在であると確信する。
この『犯罪都市 PUNISHMENT』は、ただのアクション物語ではない。人々が日々背負う痛みや絶望、そしてそこから生まれる希望を、激しい銃撃戦や息を呑むチェイスシーンとともに描き出す、ダークで重厚な物語である。闇夜に咲く一輪の光――それが、PUNISHMENTの存在であり、そして拓海をはじめとする人々に、新たな未来を切り開く力となるのだ。
読者はこの物語を通じて、腐敗と暴力の先に潜む人間の尊厳と、己の手で未来を変えようとする強い意志に触れることだろう。『犯罪都市 PUNISHMENT』は、正義と復讐が交錯する暗い都市で、真の救済がどこにあるのかを問いかける、忘れがたい一冊である。