働いたことがない35才の男とつぶらな瞳の小さな子犬が出会うことで巻き起こる予想外の成長劇を描いた傑作作品。不器用で身勝手な主人公が命と向き合い一歩を踏み出す姿が笑いと感動を呼び起こし疲れた心に深く染みわたるハートフルドラマ。

35才になっても実家から一歩も出ず親のすねをかじり続けてきた男性が主人公です。定職にも就かず自分だけの快適な世界に閉じこもり外界との関わりを徹底的に避けて生きてきました。しかしある日突然の両親の失踪によって平穏な生活は脆くも崩れ去り途方に暮れる事態に直面します。残された家で途方に暮れる彼の前にあらわれたのは手のひらに収まるほど小さな生後数ヶ月のマメシバでした。
言葉も通じず自分の思い通りにならない小さな生き物との共同生活は混乱と戸惑いの連続です。自分の世話すらまともにできない人間が小さな命を養わなければならない現実に直面し主人公の身勝手な日常は一変します。ご飯を与え散歩に出かけ糞の始末をするという当たり前の日常の作業すら彼にとっては巨大な壁として立ちはだかります。逃げ出したい気持ちと背中合わせになりながらも愛らしい存在を無視することができません。
外の世界へ足を踏み出すきっかけとなったのは小さな相棒の存在でした。近所の人々との関わりや予想外のトラブルを通して他者と接することの難しさと温かさを少しずつ学んでいきます。少しずつ変化していく主人公の不器用な歩みは変化を恐れて立ち止まっている多くの人々の背中を優しく押してくれます。情けなくて愛おしい日常のドタバタ劇の中に生きることの本質や人間味あふれる温もりが詰まっています。
愛くるしい姿に癒やされるだけでなく思いがけない人生の再生ストーリーとして胸を打つ要素が凝縮されています。悩みや停滞感を抱えている時だからこそ主人公の成長と小さな相棒の存在が深い勇気と安らぎを与えてくれます。自分自身の歩みを振り返り温かい気持ちで満たされたい時に触れてほしい素晴らしい作品です。























