妃教育から逃げたい私。自由を望む令嬢と執愛王子の攻防を描く胸キュンラブコメディ。婚約破棄を狙うレティシアと、絶対に逃がさないクラークの逃走劇。素直になれない二人の恋と成長に心揺さぶられる感動の冒険譚。

華やかな王宮の片隅で、幼い頃から厳しい「妃教育」という鎖に繋がれてきた少女、レティシア。淑女としての完璧な振る舞いを求められる彼女の本当の幸せは、ドレスを脱ぎ捨てて木に登り、川で魚を釣るような、飾らない自由の中にありました。ある日、婚約者であるクラーク王子が他の女性を連れている姿を目撃した彼女は、悲しむどころか「これでやっと自由になれる」と歓喜に震えます。しかし、そこから始まるのは、彼女が予想もしなかった、王子のあまりに熱烈で真っ直ぐな追いかけっこの始まりでした。

この物語の最大の魅力は、レティシアが抱く「自分らしく生きたい」という切実な願いと、それを誰よりも理解しているはずのクラークが放つ、独占欲すら感じさせる深い愛情の対比にあります。厳しい教育に耐え抜き、心も体も疲れ果てていたレティシアにとって、自由への憧れは単なるわがままではなく、生きるための叫びです。一方で、どんなに冷たく突き放されても、泥だらけになって逃げる彼女をどこまでも追いかけ、慈しむクラークの姿は、執着の裏側にある、彼女の素顔を愛してやまない純粋な情熱を感じさせます。

私自身、物語を読み進める中で、周囲の期待に応えようと必死に自分を押し殺してきたレティシアの孤独に触れ、胸が締め付けられるような思いを抱きました。だからこそ、彼女がなりふり構わず自由を求めて奔走する姿には、理屈を超えた爽快感と勇気をもらえます。逃げれば逃げるほど、二人の距離は物理的には離れても、心の奥底では互いの真実に近づいていく。その皮肉で愛おしいドタバタ劇の裏側には、愛する人の幸せを真に願うとはどういうことか、という普遍的な問いが隠されています。

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妃教育から逃げたい私

また、レティシアを取り巻く人々や、クラークの揺るぎない騎士道精神も、作品に彩りを添えています。王子の愛情表現は時に強引ですが、その瞳の奥には、レティシアが自分らしく輝ける場所を、王妃という立場であっても作ってあげたいという、深く重い覚悟が宿っています。

これは、定められた運命から逃げ出すための物語であり、同時に、本当の居場所を再発見するための旅路でもあります。最後の一ページまで、あなたは彼女の逃亡劇を応援し、そして彼の不器用な愛に胸をときめかせ、いつの間にかこの物語の虜になっていることでしょう。自由と愛、そのどちらも譲れない二人が辿り着く結末を、ぜひ温かな眼差しで見守ってください。