開祖も教義も救済もない──それでも生活に根づく「ない宗教」神道の本質に迫る増補版・島田裕巳著『神道はなぜ教えがないのか』【育鵬社】神道とは何かを明らかにすることは、日本人の世界観や人生観を考えることにつながる!
『[増補版] 神道はなぜ教えがないのか』は、宗教学者・島田裕巳氏が日本固有の信仰――神道――の成り立ちと特徴を、仏教やイスラム教との比較を交えながら解き明かす一冊です。開祖や教義、救済の体系を持たないにもかかわらず、神社参拝や年中行事として現代日本人の生活に深く浸透している“宗教にあらず宗教”の実態に迫ります。
本書の狙い
- 神道の本質理解:教義や経典がない「ない宗教」としての神道の歴史的背景と理論的構造を整理することを目指しています。
- 日本人の世界観・人生観の探究:神道を通じて「なぜ日本人は自然崇拝や先祖祭祀を大切にするのか」といった文化的土壌を考察します。
- 多宗教比較の視座:仏教やイスラム教と並べることで、創造神や宗祖を前提とする「ある宗教」と神道の相違点と共通項を浮かび上がらせます。
主要章立て
- 「ない宗教」としての神道:何も定められていないからこその自由と伝統を論じる。
- 原初の信仰空間—岩と火:神殿なきままに成立した自然崇拝の原型を追う。
- 創造神の不在と多神教的世界観:一つの創造主を置かない宗教としての特異性を考察。
- 神社社殿の成立史:いつ・なぜ社殿が生まれたのか、その歴史的変遷を探る。
- イスラム教との意外な類似点:偶像崇拝を避ける点など、一見異なる両者の重層を比較。
- 仏教からの脱却をめざした神道理論:仏教と神道の融合および分離の過程を分析。
- 救いのない宗教としての意味:教義や救済を持たないことが信仰者に与える自由を論ずる。
- 「ないがゆえの自由と伝統」:神道が複数の価値観を包摂し続ける秘訣を探求。
本書の特徴
- 増補版による最新知見の追加:初版刊行後の研究成果や補足説明を多数収録し、理解を深める ◆。
- 図版・写真資料の充実:式年遷宮や古代遺跡の写真が神道空間のイメージを鮮明に ◆。
- 平易な語り口:専門用語を噛み砕き、宗教初心者にも読みやすい解説 ◆。
- 多角的比較アプローチ:イスラム教・仏教・キリスト教との対比によって、神道のユニークさを際立たせる ◆。
こんな人におすすめ
- 日本文化・宗教史を深く知りたい 学生・研究者・愛好家 ◆。
- 日本人の世界観・人生観を理解したい ビジネスパーソンや教育関係者 ◆。
- 多宗教共生のヒントを探す 宗教間対話や異文化理解を志す方 ◆。
- 神社参拝や年中行事の意味を再考したい 一般読者 ◆。
日本人の無意識に根づく信仰のかたち――それが神道の「ない教え」です。本書を手に、教義なき宗教の自由と伝統、その本質をじっくり味わってください。