「全員犯人、だけど被害者、しかも探偵」ビブリオバトルの3世代3大会のグランドチャンプ本にも選ばれた『同姓同名』の著者が新たに仕掛ける、多重推理しかも密室しかもデスゲームだけど……!「私が犯人です!」「俺が犯人だ!」、全員犯人です!
『迷宮の鏡』
舞台は、とある密室の館。ここでは、招待客たちが集められ、古びた館の奥深い部屋で「真実を探る」という一風変わったゲームが始まる。参加者は皆、普段は穏やかで信頼される人物ばかり。しかし、館の扉が閉ざされると、彼らは突然、互いに疑心暗鬼となり始める。
館の主である謎多き老人・黒崎は、参加者に一通の手紙を渡す。その手紙には、「この館では、全員が犯人であり、同時に被害者であり、そして真実を暴く探偵である。あなたは自らの過去と向き合い、隠された真実を見つけ出す覚悟があるか」と書かれていた。
参加者たちは、まず自分たちがそれぞれ過去に犯してきた小さな過ちや秘密を語り始める。ある者は、かつての裏切りによって仲間を傷つけた過去を、またある者は、誰にも言えなかった裏切られた苦しみを告白する。こうして、誰もが自分自身を「犯人」として認めると同時に、誰かに傷つけられた「被害者」としての顔も持っていることに気づく。
しかし、ただの告白だけでは終わらなかった。館の中には、謎の「事件」が用意されていた。館内に散らばる手がかりをもとに、参加者は自分たちの過去の因縁や隠された秘密が、実はこの館に集められたすべての者に共通する「謎」の一部であることを知る。そして、誰もが探偵としての役割を果たし、自らの内面を掘り下げ、互いの真実を解明しようとする。
――【全員犯人】
参加者それぞれが、自分の過ちや秘密を告白し合い、誰もが「犯人」としての側面を認める。過去の失敗や裏切りは、決して一方通行ではなく、誰かの手によってもたらされたものでもあった。
――【だけど被害者】
同時に、彼らは皆、誰かによって傷つけられた「被害者」でもある。人は過ちを犯す存在でありながら、また被害にあう存在でもある。過去の出来事に対する痛みや悲しみが、各々の中に重なっていた。
――【しかも探偵】
そして、この館という舞台は、単なる告白の場に留まらず、全員が互いに問いただし、真実を暴く「探偵」として行動する場でもあった。参加者は、互いの証言や手がかりを照らし合わせながら、どこに真実が隠されているのかを推理する。自らの弱さや過ちに向き合いながら、誰もが「真の自分」を見出すための旅に出るのだ。
物語のクライマックス、館の地下に隠された一枚の古い写真が発見される。そこには、かつてこの館で起こった悲劇的な事件の真相が映し出されており、全員の過去が複雑に絡み合っていたことが明らかになる。事件の真犯人は決して一人ではなく、全員が何らかの形で加担し、同時にその犠牲となっていたのだ。写真を前に、参加者は互いの痛みを認め合い、過去の過ちを乗り越える決意を新たにする。互いに「探偵」としての役割を果たすことで、彼らは全員が真の意味で成長し、未来へと歩み出す力を得る。