十三歳の少女と翡翠色の瞳の不思議な猫が図書館に消えた本の謎に挑む、新感覚ファンタジー小説。夏川草介が紡ぐ迷宮図書館と魔法の猫との冒険譚、愛と勇気を届ける一冊。喘息に苦しむ少女と絆を紡ぐ猫の心温まる物語、失われた知識と友情を取り戻す旅へ

『君を守ろうとする猫の話』は、夏川草介氏の最新作にして、2024年2月28日に小学館より刊行されたファンタジー小説です​。
本書は小学館文庫からの刊行ですが、通常の文庫判を超える224ページのボリュームを誇ります​。

著者プロフィール

著者の夏川草介氏は、信州大学医学部卒の医師であり、『神様のカルテ』シリーズで数々の文学賞を受賞した実力派作家です​。
2009年のデビュー作『神様のカルテ』は小学館文庫小説賞を受賞し、本屋大賞で2位に輝きました​。
医療現場での経験を活かしながら、人間ドラマとファンタジーを融合させた独自の作風が高く評価されています​。

あらすじ

物語の主人公・幸崎ナナミは十三歳の中学二年生で、喘息の持病を抱えながら一人図書館に通う日々を送っています​。
あちこちに出かけられないナナミにとって、本は唯一の心の拠り所であり友人でした​。
しかし、図書館に保管された本が次々と消失する不可解な事件が発生します​。
ナナミが書棚の奥で出会ったのは、翡翠色の瞳を持つ不思議な猫でした​。
猫は「お前なら、きっと本を取り戻せるはずだ」と告げ、ナナミを図書館の迷宮へと誘います​。
その言葉を信じ、ナナミは猫とともに異世界のような書棚迷路を探索し、消えた本の秘密に迫っていきます​。
書棚の先に待ち構えるのは、不気味な城や謎めいた試練、そして心の奥底に眠る記憶の欠片です​。

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特徴・魅力

本作は知識と記憶、友情や自己肯定をテーマに掲げ、数式やパズルのような仕掛けが物語に彩りを添えています​。
さらに、少女の内面と猫の視点が交差することで、読者は成長と絆の尊さを肌で感じられます​。
文体は子どもから大人まで親しみやすく、それでいて詩的な描写と緊張感のある展開が絶妙に組み合わされています​。
各章末には幻想的なイラストや手描き風図が配され、世界観への没入感を高めています​。

読者へのメッセージ

ファンタジーやミステリー、動物ものが好きな読者はもちろん、心温まる冒険譚を求めるすべての人におすすめです​。
日常の小さな不安や孤独を抱える方にも、本書は一筋の光と勇気を届けてくれるでしょう​。
「君を守ろうとする猫の話」は、失われた本を取り戻す少女と猫の絆を通じて、知識と心の扉を開く奇跡の物語です​。